インスリンのはなし

インスリンと糖尿病

糖尿病の症状が表れてくるのは、10年以上たってから

疲れやすくなった

糖尿病の症状が表れてくるのは、一般に10年以上たってからと言われています。

最近「喉が乾きやすい」「尿の量が増えた」「疲れやすくなった」といった症状がありませんか? これは糖尿病の初期症状です。

ほっておくと合併症状により、ある日突然症状が表れて、最悪死に至る場合もあります。

合併症が原因で失明する人は年間3千人以上も

厚生労働省(平成20年調べ)によると全国の糖尿病の患者は237万人。その予備軍が約2200万人とも言われています。

●糖尿病の初期症状
喉が乾きやすい
尿の量が増えた
疲れやすくなった
体重が落ちてきた
視野がぼやける
空腹感
早い時期に対処出来れば良いのですが、気が付かないまま時期を逃すと、合併症が表れてきます。

空腹感

合併症が原因で失明する人は年間3千人以上、人工透析を始める人が1万人以上、壊疽(えそ)で手・足を切断する人が千人以上と言うデーターもあります。

自覚症状がなくても、血糖値が高いと分かった段階から注意が必要です。

血糖値、ヘモグロビンA1cの基準値は7です。

特に40歳以上の方で、基準値を超える方は定期検査など、早めの対策をしてください。

インスリンの役目

わたし達が食事をすると、食べたものは胃で消化され、消化酵素の働きで小腸から吸収されます。

吸収された糖は、ブドウ糖として血液に乗り(血糖)、肝臓、筋肉、脂肪組織などに送られます。 この時、血糖量に応じたインスリンがすい臓から分泌され、細胞にブドウ糖を取り込む手伝いをします。

又、一部の糖はインスリンの働きでグリコーゲンに変えられ、エネルギー不足の時に再利用するため、肝臓の中に貯蔵されます。

インスリンはすい臓にあるランゲルハンス島と言う場所から分泌されるホルモンですが、このホルモンは細胞にブドウ糖を渡す時に大事な仲介役となります。

又、血糖値を下げる役目をする、唯一のホルモンでもあります。

インスリンの働きが悪くなるのが原因で糖尿病に

鍵穴にインスリンが取り付く

脳細胞、筋肉細胞などにはインスリンレセプターと言う、インスリンだけが持っているドアと鍵穴があります。

この鍵穴にインスリンが取り付くことにより、ドアは開けることができます。

ドアが開くと血液中のブドウ糖を細胞の中に取り込み、細胞でエネルギーとして使うことができます。


1型糖尿病として分類される、インスリンが分泌されないタイプの糖尿病は、ドアと鍵穴はあっても開ける為のインスリンがありません。 そうなるとエネルギーを使うことが出来ないばかりか、血液中にブドウ糖があふれた状態になってしまいます。

糖尿病患者の90%以上が2型糖尿病と分類される、インスリンの働きが悪くなるのが原因の糖尿病です。 これは40歳以上の方に多く「食べすぎ」、「運動不足」、「ストレス」、「肥満」などが主な原因と言われています。

肥満が原因

2型糖尿病の場合、「インスリン抵抗性」、「インスリン分泌不全」のどちらか、あるいは両方が原因となって発症します。

インスリン抵抗性は、インスリンレセプターの感度が悪くなるとドアが半開きのような状態になり、細胞内に必要量のブドウ糖を取り込むことができません。 この場合、血液中に取り込まれないブドウ糖があふれてしまいます。

インスリン分泌不全はインスリンの分泌量が不足して、血糖値を下げることができなくなります。

どちらの場合も、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害、糖尿病腎症などの三大合併症に進展します。

・糖尿病網膜症では、視力低下、白内障、最悪の場合失明などに

・糖尿病神経障害の場合、手足のしびれ、筋肉の委縮、発汗異常、インポテンツなどに

・糖尿病腎症では、尿を作ることが出来なくなり、全身の浮腫が起き、最悪、人工透析が必要になります。

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